成長なき時代の「国家」を構想する/中野剛志編
成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―
- 作者: 中野剛志,佐藤方宣,柴山桂太,施光恒,五野井郁夫,安高啓朗,松永和夫,松永明,久米功一,安藤馨,浦山聖子,大屋雄裕,谷口功一,河野有理,黒籔誠,山中優,萱野稔人
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2010/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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専門家向けの本。
「あくまで成長・拡大をめざすべき」VS「成熟を前提として、それでも生きていける制度を構築すべき」という対立的な概念は、今日、重要な論点である。
自分の中では、基礎研究的な仕入れの読書と位置付けて読んでみた。
まだ全部は読んでいないけれど、序文にあった「日本は欧米への追いつけ追い越せを達成した。すでに成長を目標としない新たな価値観を提示するべきフェーズに来ている、という指摘は、70年代、80年代に既に政策の現場でさんざん行われていた。しかし、90年代にバブルが崩壊すると、それが無かったことのように新自由主義的な方向に触れた。そして今また、昔と同じような問題提起がされている。結局、日本人は、あまり深く考えていない」というレビューは面白かった。
成長なき時代には、成長時代の「GDP」に代わり「福利」という概念が重要*1になるという。福利は、原則的に定量化・指標化は出来ない、と論じられている。
あとは、萱野稔人氏の、ベーシックインカム論批判は、その根底にある姿勢など、勉強になった。
人事コンサルタントとしては「成長なき時代の人事管理」という論をまとめてみたいものだ。