友達の数は何人?ダンバー数とつながりの進化心理学/ロビン・ダンバー
- 作者: ロビンダンバー,Robin Dunbar,藤井留美
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2011/07
- メディア: 単行本
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ダンバーという科学者が書いた本。最近、話題のようなので読んでみた。自然科学分野の読書は本当に久しぶり。
(ウィキペディアより引用)
ロビン・イアン・マクドナルド・ダンバー(Robin Ian MacDonald Dunbar )はイギリスの人類学者、進化生物学者。専門は霊長類の行動。彼はダンバー数の定式化でよく知られている。人間にとって、平均約150人(100-230人)が「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」であると述べている。
ネットなどで話題になっているのはダンバー数という概念。SNSに見られる「友達」の平均数がこれにあっている、と言われている。本書内のダンバー数のくだりは、確かに面白いし、組織人事コンサルタントとしては大変興味をひかれるのだが、正直、どこまで科学的なのか、ダンバー数については、今ひとつ腑に落ちないところもあった。
ただし、本書は科学エッセイとしてはとても面白いし、極めて実証的な科学者が書いていることは分かる。様々なトリビアが満載で自分好みの本でもあった。
エンドルフィンと「笑い」
本書内に何箇所に出てきて、印象に残ったトピックは、脳内の化学物質としての「エンドルフィン」の重要さである。
人間は、エンドルフィンが流れると快感を感じる。宗教・音楽・笑い、などは全てエンドルフィンを分泌するためのツール、と見る事ができる、との著者の見解には「なるほど」と思った。
最近、某所でのビジネス向け講演で、「他者を怒った後こそ、最後は笑って終わりにしろ」という話を聞いた。伝えたいメッセージを「頭脳で理解させる」には理路整然とやれば良いが、「腑に落とす」ためには「笑い」が必要ということだ。
ダンバーの本に書かれていることと、この講演の話はピタリと符号する。
となると、上司と部下が(愛想笑いでなく)本音で一緒に笑える組織は強い。それが出来ない組織はちょっとマズイ、という事が言えるのだろう。
個人的にも、年々増えてきている人前で話す機会には、もっと「笑い」を大事にしていきたい。あまり笑いのセンスに自信が無いけれど。