若者殺しの時代/堀井憲一郎


若者殺しの時代 (講談社現代新書)

若者殺しの時代 (講談社現代新書)


2006年に出版された、「若者論」というか、バブル前後の日本社会論。




大体の趣旨としては、

80年代に日本社会は大きく変わっていった。それは良いことでも悪いことでもないが、変わったことは覚えておこう。
社会を変えたのは、若者やライフスタイルをお金儲けの対象とすることに気づいた、当時の企業の大人たちだ。

というもの。





著者は、この主張を、雑誌というファクトに当たることで、ある種実証的で見る。



たとえば、クリスマス。

雑誌「アン・アン」がクリスマスは彼と過ごすイベントだ!と高らかに宣言したのは、1983年らしい。

それ以前は、クリスマスとはとても地味なイベント(そもそも冬至の祭りですから)だったそうだ。

ちなみに、男性誌ポパイが今のようなクリスマス思想に目覚めたのは1987年*1らしい。(男はいつも遅れる)




他に、第1章の「1989年の一杯のかけそば」ブームとは何だったのか?とか、終章のメッセージもとても面白い本だったので、オススメです。




社会というのはとても流動的に変わっていき、しかも、その中にいると、そのことを忘れて「昔からこうだった」と思ってしまうものなのだ、と感じた。この変化は本書が発行された2006年以降の今も、当然続いている。

*1:76年生まれの自分としては、物心ついたころには、商業的クリスマスが立ち上がりつつあったということだろう。