J・エドガー/クリント・イーストウッド監督
今年の映画館鑑賞一発目。クリント・イーストウッド監督、ディカプリオが主演、というビッグネームのそろい踏み。
FBIの創設者であり、40年以上に渡りトップに君臨したフーバー長官の伝記?映画。基本的に事実に忠実な作りらしい。
分かりやすいエンターテイメント映画ではない。むしろ、アメリカの戦後史を多少基礎知識として知っていないと(本当に基本だけで可なのだが)楽しめないかもしれないと思う。加えて同性愛がテーマの一つであり、好き嫌いが分かれるところだろう。
でも、個人的にはとても良い映画だと感じた。
80歳を超えたイーストウッド監督。
当然そのメッセージ性が気になるわけだが、今回も色々盛り込まれていて、複雑だった。
「政治主導」と「官僚主導」とのバランスとは?
人間の本当の「強さ」とは?
親子とは?などなど。
指紋の一元管理など、ビッグブラザー型の監視システムの立役者がJ・エドガー・フーバー長官。
ウィキリークスが当たり前になった現代における「マッチョな統制型権力」の黄昏というのもテーマとしてあったと思う。
「政治主導の国」として有名なアメリカで、警察権力という国家中枢を、政治家も手出しできないような一人の官僚が握っていた、という構図を明確に描いたこと自体も監督のメッセージなのだろう。
静かに深い映画でありました。
ディカプリオは、いろんな意味で大熱演だったのに、オスカーにはノミネートされなかったようで、かわいそう。