月刊文藝春秋 3月号 芥川賞掲載号


文藝春秋 2012年 03月号 [雑誌]

文藝春秋 2012年 03月号 [雑誌]



芥川賞受賞作掲載号、が発売された。

毎回、選評を読むのが楽しみで買っている。

選評というのは、8人くらいの大作家が、今回の応募作、受賞作に対してコメントするもの。

自分の仕事がら、これが「人事考課」に通じる気がしてならないので、いつも興味深く見ている。

大作家の先生方は会社員と違い、かなりフリーダムに意見を述べる。同じ作品に対しても全く異なる超主観的な批評を展開する。


一生懸命に作品を応募した作家の人権を無視するかのごときコメントを連発する某都知事を筆頭に、このコメントに作家の強い個性が出て面白いのだ。それでも最終的には合議で受賞作を決めているのだが。

石原慎太郎村上龍、は「キャラが立って」おり、選評者としての芸風が確立されている。僕が個人的に好きなのは、一作一作に丁寧にコメントする山田詠美さんだったのが、今回はある応募作にメチャクチャ厳しいこと書いてて、「やっぱこの方も怖い」と思ったり。最近就任した理論派の島田雅彦氏は新風を吹き込んでいて面白い。


受賞作について

田中氏の「共喰い」は、土着・性・暴力、という感じで僕はあまりこういう中上健次的なものが好きでない、ということを再確認してしまった。でも、本作は読み通しました。インタビューで分かった田中氏の人となりは大好きなのですが。


円城氏の「道化師の蝶」は、前衛的な作品。僕は一般に「前衛」を否定したくない性格なので、これも否定したくないが、普通に読める作品ではないことは確か。途中で沈没してしまいました…。