蜩ノ記 葉室麟


蜩ノ記

蜩ノ記


平成23年度下期芥川賞受賞の時代小説。


正直、1600円のハードカバーは高いよな・・と思いつつ、直木賞選考委員の浅田次郎さんの会見全文(すばらしいです。こういう全文が読める時代は本当に有難い。)を読んで、読みたくなった。*1



読んでみたら、本当に素晴らしい作品だった。この著者の他の作品も徐々に読んでいきたい。他の作品は文庫になっているようだし。


架空の藩を舞台としている割に、物語の背景事情のところが人名も含めて複雑過ぎる気もしたが、その部分はそこそこに読んでも差し支えない。


とても日本的な話であり、日本の農村の山あいの四季が浮かぶ描写なのに、なぜか欧米のハードボイルドや西部劇みたいな雰囲気が漂っていて、映画化決定間違い無しだし、役者としてやりがいのあるキャラクターが多いと思う。



なお、新聞広告には「組織の不条理、全組織人必読」とのコピーがあって、実はそれも手に取った理由だったのだけど、そこまでの事とは、感じなかった。そういうのを抜きにして楽しめば良い、楽しめる小説。

*1:平素から、直木賞芥川賞は概ね読むようにしているのですが。自分、ミーハーなもので。