TRIP TRAP/金原ひとみ


TRIP TRAP  トリップ・トラップ

TRIP TRAP トリップ・トラップ


蛇にピアス』での芥川賞があまりに有名な金原ひとみ。当時掲載号を買うも趣味に合わず、結局読めなかった。


最近、ふとしたきっかけ*1で、この短編集を手にとって読んだが、『蛇にピアス』的なイメージのように「キツイ」描写は無く、女性独特、アウトサイダー独特の心理を絶妙に描いている。男性かつアウトサイダーとも言えない自分にとっては、とても良い読書体験(ある種、非日常的なTRIP)になった。

7つほどの短編が、一人の女性の成長に従って時系列に配置されている。多少、読後感にばらつきがあるけれど、特に最初の2つが良かった。冒頭の短編、「女の過程」はスリリングでもあり、読ませる。この作品を敢えてこの短編集の最後に配置する、というのも面白い気もした。

最後に、この本の帯とか宣伝キャッチコピーは、「女が男を蔑む時」となっているが、読後感としては「女が女を蔑む時」の方がこの小説の特徴をよくあらわしているように思う。女性は怖い(笑)。

*1:菊地成孔さんが、ラジオでこの小説を絶賛推薦していたからです。