ハーバード白熱日本史教室/北川智子


ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)

ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)


著者は昭和55年生まれ、ハーバードでテニュアじゃないけど、教えているというだけでもすごいのに、ティーチング・アワードも受賞しているなど、とても突き抜けた存在。ただし、日本史を教えている、としてその内容の説明があったのだけど、素人の自分からしても肝心の歴史の説明というか解釈が少し微妙な気がする。政治的に偏向ということではないのだけど、それってそんなに新鮮なコンセプトかな?という感じ。

また第5章には、「日本には大きな物語、国史イデオロギーが不在」であり、若手世代としてそれを作っていきたい、という意気込みが書かれている。それは大賛成なのだけど、その方法論が印象派歴史学??というのが腑に落ちない…。細分化された専門バカは要らないよ!という姿勢には基本賛成なのだけど…。

と、多少批判めいたけれど、とてもユニークな人生、最新のハーバードの素描に加えて、ティーチングメソッドについての具体的な記述は楽しめた。

レクチャラー(教え手)自身が本当に好きな事、個人的な趣味で良い、ティーチングに活かして講義することが相手に訴えかける講義の本質だ、というのは自分の講義経験からもそうだと思う。


この先生は、たまたま音楽が好きなので、歴史の授業に音楽を大量導入しているそうだ。歴史的録音を聞かせる、とか、授業にBGMをつける、とか。さらになんと、日本史の授業にフリースタイルラップを取り入れている、と。宇多丸師匠に教えたい、と思った。