想像ラジオ/いとうせいこう

第149回芥川賞候補作
第26回三島由紀夫賞候補作
2013年上半期 BOOK OF THE YEAR 一般小説ランキング部門第4位(「ダ・ヴィンチ」誌)
かつてない大反響を呼んだ、いとうせいこう、16年の沈黙を破る新作小説。


想像ラジオ

想像ラジオ


サブカル方面からの高い評価が以前から耳に入って気になっていたところ、芥川賞にもノミネートされたということで、「これは読まねば」と思っていた。残念ながら芥川賞は受賞ならず((どうやら村上龍らが反対?この辺は選評を待ちたいところ。))だったけれど、じゃあ、読んでみるか、ということで手に取った。

先入観なく読んだ方が良いと思うので、内容については触れないが、純文学的でありながら間口も広い書きぶりで、お勧めできる作品だ。

自分としては、これは人間の持つ感受性について書かれた小説だと思った。著者の感受性の鋭さがビンビン伝わってくる。(何しろ、感受性が強過ぎて十数年新作小説を書けなかった、という人だ)

表現方法の面でも、日本語ラップの草分けでもあるいとう氏に対しては僭越というしかないが、DJアークの一人語りの臨場感、文章の巧さが素晴らしい。

なんとなく、村上春樹を意識してしまう部分があった。特にデビュー作の「風の歌を聴け」を。DJが語りかけてくる、生と死の世界のモチーフ、などが共通だからだろうか。村上春樹の新作「多崎つくる」が100万部売れるなら、この本だってもっともっと売れて良い本だと思う。

個人的には音楽好きとして、途中に挟み込まれる曲にも心を動かされるわけだが、特にボブ・マーリーの「レデンプション・ソング」、ここ数年自分もこの曲に惹かれて何度も聴いていただけに、(この偶然?に)ぐっときた。これは本当に詩も曲も名作。

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