考える人 2010年春号 はじめて読む聖書 No.32

昨年から、宗教の勉強が「マイブーム」となっている。宗教学?の入門的なものを何冊か読んでいるような段階。自分は特にこれといった信仰を持ったことはない。しかし、経営や社会事象を考えるにあたり、どうしても宗教を一つの要素として見過ごせない、ということと、宗教を知ることで、映画や音楽をもっと楽しめる、という公私双方の動機があるので、楽しく?マイペースで進めている。


実際、今年の1月に、宗教社会学橋爪大三郎先生の一神教に関する講演を聞いて、そのあと映画「アヴァター」を見たのだが、その講演を聞いていなかったら分からなかったであろうことを映画からたくさん読み取ることができた。やはり知識は「楽しい」。


さて、そんなマイブームだからそう思うだけなのかもしれないが、世間的にもちょっと宗教研究、宗教本ブームが来ているのかもしれない。最近も以下の雑誌の特集号を見つけたので買って読んでみた。これが入門として良いかどうかは分からない、インテリ向けを前提とした、結構高度な内容だったと思う。

考える人 2010年 05月号 [雑誌]

考える人 2010年 05月号 [雑誌]


面白い記事が多かったが、とりわけ、田川建三さんという方のインタビュー記事「神を信じないクリスチャン」が大変興味深かった。この記事だけでもこの雑誌にお金を出した価値がある。ご本人に加え、聞き手の湯川豊さんもすごいと思った。当然素人な自分は田川さんすら知らなかったわけだが、この記事の中で触れられていた「イエスという男」という田川さんの著書も読んでみたい。



あと、内田樹の「旧約聖書」をめぐるインタビューも面白かった。


ぼくが聖書の中で一番好きなことばは、創世記でアブラハムにむかって主が言う言葉です。「あなたは生まれ故郷/父の家を離れて/わたしが示す地に行きなさい」(創世記12−1)「家を出よ」という命令です。

ユダヤキリスト教の伝統のなかで、思想史的にもっとも重要なメッセージは「今あなたがいるその場所から立ち上がって、知らない世界に歩みだしなさい」という教えに集約されます。自分が閉じ込められている檻から出よ。自分が生まれついた風土から出よ。聖書の発信するもっとも根源的な指南力は、この「外へ」というメッセージに尽くされるのではないかとぼくは思います。


たしかに、「おせっかい」という一神教の特徴をよく捉えた表現だな〜と思った。だから、圧倒的伝播力で、世界に広がっていくし、戦争も起きるし、資本主義も発展させたわけだ…。

本誌を読んで「聖書学」というのと「神学」というのは違うということが分かった。コツコツと10年計画くらいで色々読んでいくことになるのだろう。