池波正太郎直伝 男の心得/佐藤隆介
前にこのエントリで述べたように池波正太郎先生のファン*1なのだが、最近本屋で、以下の本を偶然見つけて買って読んだ。(今、池波先生の没後20年でフェアをやっていますね)
- 作者: 佐藤隆介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: 文庫
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著者は池波正太郎の「弟子」の方。
そうしたら、これが凄く面白い。書かれているのは、いわゆる「独断と偏見」ばかりなのだけれど、読んで面白いのは「毒にも薬にもならないもの」よりも「独断と偏見」である、と再確認した。
特に、第一章 男を鍛える「食の流儀」 ウィスキー で述べられている著者の「ウィスキー論」は読みながら笑いが止まらない内容で、すぐにこの人のファンになった。
私のような人間にとっては、男がウィスキーなしで生きていられるというのはほとんど信じ難い。だから、つい、「ウィスキーを嗜まぬような男は、男とはいえない」などと暴言を吐いては、あちこちでひんしゅくを買っている。
(略)
一日の反省をすべきひとときにふさわしい酒がウィスキーの他にあるだろうか。ウィスキーはウィスキーさえあればいい。他になにもいらない。せいぜい冷たい水と氷だけ。それすら別段なければならないというものではない。グラスに琥珀色の液体を注ぎ、黙してすすりながら一日をふり返る。
あと、自分などが言うのもおこがましいが、この佐藤隆介氏の文章のリズム感、言葉の選び方が素晴らしく、名文愛好家の自分としてはその点でも嬉しい。繰り返し読んでこのリズム感を身につけたい。