トイ・ストーリー3




予告編が感動モードの作りになっていたので、「号泣してしまうんじゃないか」と怯えながら一人で映画館に潜り込んで見てきた。こういう映画では、3Dメガネは表情が隠れるから便利。


実際の映画は、予告編から想定したほど泣かせには走っておらず、その方面では抑え目な作りになっていたように思う。


ピクサーは脚本を練るのに時間をかけ、集団で議論しながら脚本を作ることで有名なのだが、本作のこうしたチューニングもそうした議論の結果の産物なのだろう。個人的にはもう少し泣かせてくれる方に振り子を振ってくれても、良かったけれど。


とはいえ、エンディングも近くなり、子どもが大学に入って家を出て行く、という母親との別れのシーンのあとは、凄いシーンの連続だった。無表情のおもちゃがこれほど雄弁にモノを語る(語っているように見える)というのはもはや神業。



時間というものは不可逆であり、どんな相手(実子であれ、親友であれ)とも別れは避けられない、というごく当たり前で普遍的なテーマを、これだけのエンターテイメントに昇華したピクサーは凄い。


笑いのシーンも優れていて、個人的には、ドSのバービーがケンの洋服を裂きまくるシーンでは大爆笑した。


ディズニーとピクサーの両社の関係がこじれていた時分には、ディズニーが嫌がらせで勝手にトイ・ストーリー3の作成を進めていたということがあるらしく、それが実現せず、こうした形で作品が結実して本当に良かった。



3Dメガネと映画館の音響(7.1ch)は、トイ・ストーリーの世界に思う存分没入できるのでオススメです。