「私は詳しくないので…」

今朝の日本経済新聞朝刊の記事を見て、笑い泣いた。


対ロシア外交、戦略見えず 首脳会談 対話のパイプ乏しく
2010/11/14付 情報元 日本経済新聞

(略)

その経緯は今月初めにさかのぼる。大統領の国後島訪問で衝撃が走った後の3日夜。首相官邸の執務室には、苦々しい顔で座る首相を囲み、気まずい空気が流れた。集まったのは仙谷由人官房長官ら数人。緊急帰国を命ぜられた河野雅治駐ロシア大使の姿もあった。

 大統領が国後島を訪れるとの観測記事が流れた以降、日本の外務省は一貫して「訪問はない」と報告し続けた。それを信じた官邸は強いメッセージも出さず、無策のまま訪問を許してしまった。

 「どういう分析であんな報告をしたのか」。官邸側が問い詰めると河野大使は答えた。「ロシア外務省がそう言っていました」。その瞬間、首相は血相を変えた。「じゃあなぜ状況が変わったと思うんだ」。大使の説明はしどろもどろとなり、ついに「私はあまりロシアに詳しくないので…」と口走ると、ついに仙谷長官の怒りが爆発した。


官邸を株主や親会社、官僚機構とそのトップである大使を会社生え抜きの運の悪いゼネラリスト幹部、として置き換えると、割とあり得る光景ではないだろうか。

「今の部署に、詳しくなくたって、自分はこの組織に尽くして出世してきたメンバーだから良いじゃない。」


嗚呼、これぞ、日本の組織。


最近、あるところで「日本人は潜在的に、組織のトップは無能であることを望んでいる*1。だから政治家にはダメそうな人を選ぶし、トップが無能になるように組織的にスポイルする努力している」と聞いたことを思い出した。

*1:その分、中堅から末端までの構成員が粛々と頑張るのだ