いつ来るか分からない15分のために常に準備をしているのがプロ、デザイナー奥山清行による「ムーンショット」デザイン幸福論


とても長い講演録で、何をテーマにしているか、についてはとても説明しづらいが、ここ最近読んだものの中ではズバ抜けておもしろかったのでご紹介。

http://gigazine.net/news/20110908_moonshot_design_cedec2011/

これからは、会社という組織が逆に膨れていくか、どんどん崩壊していくか、その両方がこれからどんどんこの今後の50年間で起こってきます。それで重要になってくるのが、これは日本経済新聞に載せた記事なんですけれども、会社と個人、あるいは自分のキャリア、仕事と個人というバランスシートがあって、日本の特に若い人に強く言いたいんですけれども、勘違いしているのは、若い人が特に勘違いしているのは、自分は会社とか仕事から得るものだけ得て、一番得た時点で次のステップに移っていくのがキャリアアップである、と。実はこれ大きい間違いでして、自分が与えたものと相手からいただいたものの中で、相手にあげた方の大きい場合に、次の仕事につながります。これはアメリカとかヨーロッパの契約社会で非常に重要な考え方で、得たものよりも与えたものの方が多いことが大切なんです。それでこの人間は優秀であるという名声が広がって、きちんとしたお給料なり、それに対する対価をいただいて、次の仕事をもらうという仕組みを作るのが、実はプロとして非常に大切なこと。なんか高校の話みたいですみません。プロの皆さんを前にして。ただ、非常にその基礎が日本に帰ってきて成り立っていないのでびっくりしました。

内田樹さんが「贈与」を使って説明しているのと同じことですね。


このメガネですね、皆さん馬鹿にしているかもしれませんけれどね、ここはメガネかけてらっしゃる方が多いからわかるかもしれませんが、普通の方ってメガネに1万円、2万円しか払わないじゃないですか。時計に150万円払う人に、その人のかけているメガネの値段を聞くと、1万円なんですよ。なんかおかしいな、と思って。それで福井の鯖江に行って、それで福井の鯖江でしかできないことって何かなと思ったらチタニウム、いわゆるチタンのプレスで、鍛造で作るフォージですね。それで作る技術で、ものすごく強くて造形力のあるメガネっていうのは中国でもどこでも作れなくて、福井の鯖江でしか作れないんですよ。それで作ったところ、これが8万7000円という決して安くないフレームなんですけれど、あえて今日皆さんに申し上げたいのは、メガネの利益率の高さでして、これ1個売ると、トヨタYarisを10台売っただけの利益が、これ1個で上がるんです。


業界を超えて仕事をしていると、利益率とかものの売り方とかそういったことがこれほど違うのかな、ということにがく然としまして。皆さんも是非ですね、他の業界のことももうちょっと見て行かれると、見てらっしゃる方もいらっしゃると思うんですけれどね、意外と面白い発見がありまして。8万7000円のメガネ1個の利益が、トヨタ10台分の利益をこれ1個で出せるんです。

↑これだけ読むとインチキ商売のススメみたいですが、付加価値とは何か、という点でとても示唆に富む話が展開されています。藻谷浩介『デフレの招待』で議論されていた「日本の目指すべき方向性」と重なります。



僕は大分前にNHKのプロフェッショナルでこの人を知ってからこの人のファンで、家にKEN OKUYAMAデザインの鉄瓶を飾っております。あと、以下の本はとても面白かったです。

グローバル人事の話をする際に、本書やこの講演内で述べられている事例を参考にさせてもらっています。


人生を決めた15分 創造の1/10000

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