ウィンターズ・ボーン/2010年・アメリカ

ミズーリ州南部のオザーク山脈に住む17歳の少女リー(ジェニファー・ローレンス)は、年少の弟と妹をかいがいしく世話し、その日暮らしの生活をどう切り盛りするかで頭がいっぱいだ。ドラッグ・ディーラーの父ジェサップは長らく不在で、辛い現実に耐えかねて精神のバランスを崩した母親は言葉を発することすらほとんどない。そんなある日、リーは地元の保安官から、警察に逮捕され懲役刑を宣告されたジェサップが、自宅と土地を保釈金の担保にして失踪、もしこのまま翌週の裁判に彼が出廷しない場合、リーたちの家は没収されると聞かされる。

重たい映画だった。感動作でもないし、巧妙なミステリーでもない。


現代アメリカにこんな社会がある、ということを知らしめたことに意義がある、ともされており、確かにそういう点で良かった。(こういうところから金銭で釣って米軍兵士をリクルーティングしてるのね・・)とか。

でも、最も核となる印象は、ストーリーから感じられた「力強さ」。


とんでもない苦境に立たされた17才の女性主人公が小細工をせず、黙々と進んでいく姿がその理由だと思う。

そもそも、この映画に興味を持ったのは、町山氏のポッドキャストだったのだが、映画を見てから復習がてら聞くポッドキャストは、また勉強になった。

あの山の中の白人たちは、ヒルビリーと呼ばれるスコティッシュアイリッシュ層で、ああいう暮らしをしているのには歴史的な理由があることを知る。映画を見た後は(パンフを買わないなら)このポッドキャストは必聴。

http://www.tbsradio.jp/kirakira/2010/06/20100625-3.html


余談

映画を見ながら、この「アメリカのど田舎で、長子が欠損家族を抱えて頑張る感じ」は、映画「ギルバート・グレイプ」に似ている。

と思ったり、

「アメリカの森の中のど田舎の閉鎖的秘密結社な感じは、ツイン・ピークスに似ている」


と思ったりして見ていたら、

なんと、エンドクレジットで気づいたが、

ツイン・ピークスで当時女子高生役で、「世界一美しい死体」とされた、ローラ・パーマーことシェリル・リンが出ていたらしい。

全く気づかなかった。

まさか、あの方が、ローラ・パーマーだとは・・・。

お互い、年取る筈だ。