神の子どもたちはみな踊る/村上春樹


神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)


最近、この短編集の表題作について、尊敬する大先生と話す機会があった。


それをきかっけに、改めて表題作はとても良い作品だ思った。


この短篇集自体はかなり地味だし、あまり好きではない作品も含まれているのだが、表題作は短いながらも深い。


先生は「最後のシーンで、グラウンドに風が吹くのが良いんだ。村上春樹の小説の核心は“風”だと思う」とおっしゃった。


僕は「この表題作で主人公が地下鉄で追いかける「父」はやはり「一神教的な神」のメタファーなのだろうと思います*1」と言った。


とても想い出に残る会話になった。



そもそも、この表題作は「1Q84」の原点になっている。重要な作品なのだと思う。

*1:実の父を知らずに育った主人公は、父と思しき人を見つけてその人物を尾行するが、捕捉したと思った瞬間に…。日本人と一神教の神の暗喩だと思う。