日本的ソーシャルメディアの未来 濱野智史, 佐々木博, ソーシャルメディア・セミナー


日本的ソーシャルメディアの未来 (PCポケットカルチャー)

日本的ソーシャルメディアの未来 (PCポケットカルチャー)


自分の今年の変化として、「ソーシャルネットワークサービス(SNS)」を本格的に使い出したことがある。

ITやビジネスという観点への興味からではなく、組織人事コンサルタントとして「人のコミュニケーション」「人と人との関係性」がどう変わるのか(変わらないのか)を研究したいとの想いから、取り組んでみている。





年末に、そんな取り組みを振り返る感じで、本書を読んだ。本書は、1年以上前の考察であるが、内容としては今読んでも違和感がない。(非常にざっくり読める、読みやすいつくりだ)

印象としては、自分がここ半年くらいSNSについて考えていたことが、見事に言語化されていた、という感じだ。社会学的な素養を持ってこのSNSという現象を捉えるとこう見える、ということなのだろう。

主な考察は、コミュニティ(共同体)とソサエティ(社会)という対概念を使ってなされており、日本は良くも悪くも前者。アメリカ発SNSアーキテクチャは基本後者で出来ている、というような分析がなされる。



ソーシャルメディアについて考えるということは、つまるところ、「日本社会は今後〈ソサエティ〉として成熟していけるのか、それとも〈コミュニティ〉としての側面をしぶとく残していくのか」という問題に帰着するんです。(本書P.112より引用)




という一文は、まさに「我が意を得たり」(笑)であった。私の仕事のフィールドである「会社」を見るかぎり、まだまだコミュニティな気がする。





自分がかなり類似した問題意識で「日本企業の求めるコミュニケーション能力」について一年前に書いた小文が以下に掲載されている。というか、今あらためて読んでみて、本書と極めて類似した点に着眼しているのに我ながら驚いた・・・。

http://www.koyoerc.or.jp/assets/files/263/08-09.pdf