チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男/遠藤誉


チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男

チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男



チャイナ・ナインがあまりに勉強になったので、続編的な存在の本書を読む。薄熙来の人生を追いかけた伝記であり、中国共産党の諸事情を開設する本でもある。


中国政治、国際政治の事実の面白さに加えて、遠藤さんの人生が絡んだ記述ぶりも大変に興味深い一冊だった。


薄熙来共産党のトップになるためにやったことは、会社にたとえれば、部長が出世のために自分の会社の社長・会長の電話やメールを盗聴するっていうことで、さすが世界一の組織内出世競争であることである。


(メモ、以下の事は勉強になった)

共産党の幹部はある意味では不正蓄財は「暗黙の了解」として認められている、しかし、個人崇拝や庶民を扇動するような行動は絶対的なご法度になっている。後者がご法度になっている理由は、もちろん、毛沢東のやったことのトラウマによるものである。

中国共産党幹部党の不正蓄財は中国国内に置いておけない(見つかったらやばい、没収可能性などもある)ので、巨大なマネーロンダリングの波として米国・英国をはじめとする先進諸国に流れ出している。著者の推計だと年間9兆円。土地をはじめとする中国バブルの恩恵も大きい。このことは、米国・英国も理解している。中国のバブル崩壊、あるいは不正蓄財ができないような政治体制の変革が起こると、実は米国・英国も困る、という構造、まさに世界は相互依存を深めている、ということ。