構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌/竹中平蔵


構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌



前から面白そうだと思っていたが、ようやく先週、読んだ。

そして、本書は実際に非常に面白かった。


竹中平蔵氏が、学者から大臣に任命され、政権の中で、与党内の反対や抵抗する官僚やしょーもないマスコミと格闘しながら、自分の思う政策を実現していく様が活写される。

竹中氏を心酔せしめ、異常な気合を発揮する小泉純一郎氏の描写も大変興味深い。


記録書を超え、純粋な読み物としても大変面白い「変革ストーリー」である。頭の良い人の文章はかくも読みやすいものか、とその点でも驚いた。


もちろん、著者なりのポジショントークも多数あるだろう。けれど、そんなことで批判して難癖つける(あるいは、本書を読まない理由にする)のがはばかられる内容である。政治でも企業でも、「改革」を志す人であれば、必ず得るものがある本だ。


本書が提起している問題は多く、どれも非常に重たい。

一点あげれば、竹中氏が繰り返し強調しているのは『結局、日本では「具体的・論理的な政策の中身」の議論よりも「人情、扇情、組織のしがらみ」ばかりが扱われる、ああ虚しい・・・』という事である。本書を読めば、彼は後者を一切考慮していないわけではないことはよく分かる。むしろ(普通の学者、あるいは普通のビジネスパーソンよりも)色々、気を遣っている。そうしてアプローチした上でも、「具体的な政策の中身」の議論は「そもそも、取り合われもしない」という事が政治の世界では多かったらしい。

以下、本書には直接的に書いてないことではあるが。

まさしく、日本が何十年も前に戦争に負けたときと同じことが今(正確には本書の対象である10年前くらいですか)も繰り返されている、と感じた。

もちろん、2011年の今、でも同じ事が繰り返されている。

こんなことでは、また日本が負けてしまうのも已む無しかもしれない、となんだか重たい気分の読後感だった。