内田樹先生がまた面白いこと書いているのでご紹介

内田樹という批評家・著述家の先生が好きなのだが、ブログで「成果主義」がらみの面白いことを書いていたのでご紹介

http://blog.tatsuru.com/2010/04/01_1107.php から一部引用

これまでに何度も書いてきたことであるが、文科省主導の「成果主義」的モデルは、「アンダーアチーブの人間を脅かし、萎縮させる」という効果はあるが、「すでにオーバーアチーブをしている人間をエンカレッジする」効果はない。

だが、教育研究機関においては、「ろくな仕事をしない人間を脅しつけて標準的な仕事をさせる」ことより、「標準をはるかに超えて働く人間にフリーハンドを保証することで、オーバーアチーブメントを上機嫌に継続していただく」ほうが、成果の達成というプラクティカルな観点から言えば、ずっと効率的なのである。

教職員のうちの20%は給料分の仕事をしていない。60%は給料分働いている。20%は給料分以上の仕事をしている。
この比率は世界中どこの国のどんな組織でも変わらない。

その20%のオーバーアチーブメントが組織を「前に進める」駆動力を提供している。
だったら、給料分の仕事をしていない20%を検出して、きびしく考課し、脅しつけたり、萎縮させたりする時間と手間があるなら、それをオーバーアチーバーたちに「気分よく働ける環境」を提供することに使う方がよほど合理的である。

給料分の仕事をしていない人間がもたらす損失は最大でも給料分であるが、給料分以上の仕事をしている人間がもたらす利益は彼らに支給されている給料をゆうに超える。

それなら、メンバーを査定したり評価したり、競争的環境において限られた原資をラットレース的に争奪させるよりも、ほんわかした「気分よく働ける環境」を整備した方が、経営的には「儲かる」。

経験は私にそう教えている。


内田樹の本はかなり読んでいているので、面白い本をいくつか紹介したいのだけれど、また別の機会に。